好きが涙に変わって溢れてく。

このままゴンドラが、止まってしまえばいいのに……



「来てよかったな。今日」


外を見つめながら、魁が呟く。



「結構楽しかったし。こういうのも含めて」



付け足すように歯を出して笑う魁の頬を、私は軽くつねってやった。



「それはよかったね~」


「何だよ、嫌なことでも言ったか?」


「べっつにー」



顔を背けると、私は再び外に視線を向ける。



「うそ。ホントは私も」


「え?」



顔を近付ける魁に振り向くと、私は満面の笑みを見せた。



「来てよかった、楽しかった。こういうのも含めてねっ」



魁の真似をして少し威張ってみると、魁はプッと笑って口を押さえていた。



「ばーか」


「魁には言われたくないよっ」



本当に楽しかったんだから。

それが例え遊園地じゃなくても
あなたと一緒ならきっとどこだってね。



ねぇ魁、本当にありがとう。





そして私たちの乗ったゴンドラは、ゆっくりと、地上へ近付いていった。

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