好きが涙に変わって溢れてく。
今にも泣きそうになる明菜の背中を優しく擦った。
「ねぇ明菜、不安とかいっぱいあると思うけど、信じてみたら?好きだからこそ、信じてあげなきゃ」
「……うん、そうだよね」
遠距離恋愛をしたことがない私がこんなこと言うなんて、凄く厚かましいと思う。
でも、どんなことがあっても好きな人を信じることは大切だと思った。
「ありがとう、桜綾」
「ううん。元気出た?」
「うんっ」
「それならよかったっ」
明菜が今の彼氏と上手くいってほしいと思う気持ちは強くある。
だけどほんの少しだけ、彩葉の恋が上手くいくように、とも思ってしまった。
もちろんその話題については触れることは出来なかったけれど。
「そういう桜綾はどうなのよ?」
「へ?」
「好きな人いるんでしょ~?
私のことだけ話すなんてずるいじゃない。いい加減桜綾も教えてよっ‼」
ニヤリとした笑みに変わる明菜。
こんな表情に変わる明菜は普段見れないからこそ怖い。
ずいずいと近寄ってきて、追い込まれているようだ。