好きが涙に変わって溢れてく。
ドクン、と心臓が大きく胸を打つ。
知りたい。魁の気持ちを知りたい。
でも、聞きたくない。
まだ知りたくない。
逃げたいのに、足が動かない。
「片桐?あいつはただの友達だな、女っつーより男と一緒にいるような感じかな?でも俺の良き相談相手なんだ」
何だろう……この気持ち。
頭を鈍器で殴られたような、この痛み。
頭が痛い。胸が苦しい。
早くここから離れなきゃ。
それしかもう考えられなかった。
私は引き返すと、ここに来た目的も忘れて学校から遠ざかるように走った。
“ただの友達”
魁の言ってた言葉が、頭の中で何度も繰り返される。
その度に襲ってくる痛み。
どうして?わかってたはずなのに。
友達だなんて、最初から知ってたはずなのに。
なのにどうして……
こんなに涙が出るの?
胸が苦しいの?
魁は明菜が好きだって、知ってるのに……
当然のことなのに。