好きが涙に変わって溢れてく。
どうしてそれに誰も気付かないの?
どうして私が悪いの?
認めるしか……手段は残されてないの……?
どうして――……
「じゃあ……私が悪いの?」
誰も信じてくれない。わかってくれない。
なら……もうどうでもいい。
どうにでもなれ。
震える体で、声も震えていた。
「全部私が悪いの!?何もかも明菜を信じるの!?噂を信じるの!?……私のことは、信じてくれないの……?」
泣きそうだった。
誰もわかってくれなかったこと。
魁が噂を否定してくれなかったこと。
せめて、“そんなの嘘に決まってるよな?”って、言ってほしかった。
そんな軽蔑した目で見ないでほしかった。
それこそ何の証拠もないのに、噂や明菜を信じるなんて……
再び静まり返る教室。
私はそれ以上、そこにいられなかった。
「……もういい。好きに信じればいい」
涙を隠して、私は教室を飛び出した。
「桜綾っ‼」
誰の声にも、1度も振り返らなかった。
.