好きが涙に変わって溢れてく。
瞳と逢織も、明菜を睨み付けている。
そんな彼女にニッコリと笑った後、私は廊下まで群がっているギャラリー達をキッと睨み付けた。
「見たことも証拠もないくせに、噂を信じるあんたらもどうかしてんじゃないの?もし桜綾に何かしたら、絶対に許さないからね……」
その怒り交えた静かな声に、誰もが怯えたような瞳を向けている。
「どう思おうが、それはあんたの勝手かもしれないけどね……。これだけは言っといてあげる」
私は最後に、魁に向かってこう言った。
「こいつの涙が全部真実だとは限らねーんだよ」
明菜は私たちを悔しそうに見つめている。
「彩葉……」
廊下に出ると、遼也が心配そうに私に近寄って来たけれど、私の怒りはまだ収まらない。
「……遼也も知ってたの?あの噂」
「え?」
「信じてないよね?」
私はずっと下を向いたまま。
「遼也なら大丈夫だって信じてるよ。
……けど、もし魁と一緒になって桜綾のこと悪く言ったり笑ったりしたら……、その時は遼也でも許さないからね」
私はそう言い残し、再び歩き始める。
私と瞳と逢織が向かった先は言うまでもなく、どこかにいるはずの桜綾の元。
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