好きが涙に変わって溢れてく。

「ま、よかったんじゃねぇの?
じゃあ俺はちょっと出かけてくるから」


「どこに?」


「内緒」



怪しい笑みを残すと、お兄ちゃんはリビングから出て行った。



……もしかして、彼女とデートとかかな?

って言うか彼女いるのかな、あいつ。



滅多に家に女の人連れてこないから、どんな人かとか全くわからないんだよね…。



1人きりとなったリビング。静かになると、自然に緩む自分の頬。


思い出すのは、帰りのこと。




「……ふふっ」



嬉しかったなぁ。魁と並んで歩けたこと。


2人だけで帰れたこと。

笑い合えたこと。


今日は変に意地を張ったりしなかったからそれが凄く嬉しかった。




「いつもあんな風に話せたらいいな……」



余韻に浸りながら、私はだらんとソファーに寝転んだ。


天井を眺めながらそんな事を考えていると、いつの間にか意識がなくなっていた。

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