好きが涙に変わって溢れてく。

一生懸命伝えても、2人は呆れたように笑うだけ。



「嘘言わないでよ。桜綾が明菜を苦しめようとしてるんでしょ?明菜はそんな子じゃないよ」



何も知らないくせに。


私の気持ちも、何も……



「ならずっとそう思ってればいいじゃない。私はもう明菜とは関わるつもりないから」



吐き捨てるように言うと私は自分の席へ戻った。


2人の鋭い視線には目を合わせないように。



明菜はどうせ私を見て笑ってるだけ。


どうして誰も気付かないんだろう……





「なにあの態度」


「絶対許さない」




次は一体何をされるの?


また違う噂を流されるの?



もう否定する気力もない。


たった1つの噂に執着しすぎなのよ。



信じるのは勝手だけど早く消え去ってほしい。







「桜綾っ‼おはよっ」


「逢織……おはようっ」



ポン、と背中を叩かれて振り返る。



「……どうしたの?元気ないじゃん」


「ううん、何でもないよ。大丈夫」


「そっか、ならいいけど」



私には信じられる人がいる。


私を気にかけてくれる人がいる。



「おっはよ‼」


「彩葉、瞳……おはよっ」



だから大丈夫なんだ。


きっと何があっても。

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