好きが涙に変わって溢れてく。
「よっ‼」
次の日。
いつものように頭を鞄で叩かれると思って気を配りながら歩いていると、意外にも隣から普通に彼の声が聞こえてきた。
「おはよー魁」
「はよ」
何もしてこないなんて、彼にしては凄く珍しい。
“何かあったの?”と聞こうとしたけど、また意地を張ってしまいそうだったので止めておいた。
「今日も学校めんどくせーな」
「学校楽しくないの?」
「授業が嫌なだけ。最近は楽しくなってきたし」
「どうして?何かいいことあった?」
「まぁな‼」
ニコッと楽しそうな笑顔を向ける魁に、胸がドキッと高鳴る。
どうしよう、顔真っ赤かも。
本当に好きだなぁ……魁の笑顔。
「私も最近学校好きなんだっ」
「いいじゃんっ」
「でしょ!?」
だってあなたに会えるし、今だってあなたの笑顔が見れるから。
それだけの為に、学校に来てるって言ってもおかしくないかもね。
いつもならさっさと先を歩いていく魁は、この日は玄関までずっと一緒だった。