好きが涙に変わって溢れてく。
あぁ。そうか……
目の前が真っ暗になるっていうのは、こういうことだったんだ。
「桜綾?」
明菜と魁が付き合い始めた?
そんなのわかってたじゃない、初めから。
魁が明菜を好きだと私に打ち明けたあの日から。
私には届く恋じゃない。どちらかが気持ちを打ち明ければ終わる、私の恋。
とうとうその日が来たんだ。
だから、悲しくも苦しくもない。
「桜綾……っ?」
全然、辛くなんかない。
「そっか……っ‼よかったじゃない‼」
私は心から、2人を祝福するよ。
「え?」
「だってずっと両思いだったでしょ?私はとっくに諦めたんだし、早く告白したらよかったのにねー。どっちから告白したの?」
笑顔で応援するよ。2人の恋。
「明菜……」
「そうなんだぁー。明菜が告白するなんて、きっとよっぽど魁のことが好きなんだねっ‼」
そう言って声を出して笑っていたら、丁度廊下の角から明菜と魁の2人が現れた。
クスクスと笑いながら、楽しそうな2人。
私たちに気付くと、2人は足を止めた。
「…………」
彩葉たちは、彼らを見つめたまま何も言わない。
そして明菜と魁も。
妙な空気が流れる中、私は魁と目があって満面の笑みを向けた。
「魁‼やっと想い通じたんだねっ‼よかったじゃん!おめでとう、2人とも幸せにね‼」