好きが涙に変わって溢れてく。
涙の本当の意味、わかってた。
魁……私はあなたが好きです。
どうしようもないくらい、大好きなんです。
あの時魁が助けてくれて、嬉しかった。
ああやって言ってくれて、嬉しかった。
忘れたかったから、諦めたかったから。
いっそのこと大嫌いになってほしかったから。
あんなこと言ったの。
だけど本当にもう、終わりだね。
いつまでも忘れられない私は、いけませんか?
――――――――
―――――
泣くのに疲れて、ようやく教室に戻った頃には2限目が終わった後だった。
化粧はボロボロに落ちて、二重だった瞼はきっと腫れ上がっているのだろうと思うと、顔をあげることは出来ない。
側には彩葉たちがいてくれてるけど、逃げ出したくなった。
「保健室……行ってくるね」
「1人で大丈夫?」
「うん、3人共ゴメンね。ずっと隣にいてくれて本当にありがとう」
カバンを持って、微笑むと私はすぐに教室を出た。
覚束ない足取りで保健室に向かって、扉を開ける。
「……桜綾ちゃん?」
聞き覚えのある声に、私は目が合った瞬間ハッと顔を背けた。
イスに座って傷の消毒をしている尊琉君。
ジャージ姿の所を見ると、体育だったのだろう。
こんな顔を見られてしまうとは……
「あ、あの、ちょっと体がダルいんで寝てもいいですか?」
「え、えぇ……それならどうぞ」
なるべく尊琉君と目を合わさないようにして、ベッドに入ってカーテンを閉める。
1人の空間に、ようやくホッとできた。
カバンの中から鏡を出して自分の顔を見てみると、そこにはまるで自分とは思えないほど情けない顔が映っている。