好きが涙に変わって溢れてく。
「前の時も、さっきも、あんな風に言ってくれて凄く嬉しかった」
ちゃんと伝わってたらいいな……
またバカにされるかもしれないけど、それでもいい。
「今日のあいつの言葉聞いてさ、俺……どれだけお前に酷いことしたか改めてわかったんだ」
前を見て言う魁。
「だから本当はあんなこと言う資格なんてないと思ってたけど……気付いた時には、胸倉掴んでて……」
その胸倉を掴んだであろう右手を見て、ぐっと握り締めている。
「俺の方こそ、ありがとう。そうやって言ってくれて。凄くスッキリした」
こんなに優しい笑顔を向けられたのは、初めてかもしれない。
「でも、仲直りとかはいいの?しなくて……」
「俺あいつのことあんま好きじゃねぇから別にどうでもいい」
「そ、そう……」
男って本当にサバサバしてていいよね。
羨ましい。
「みんなビックリしてたんじゃない?」
「うーん……まぁ別にいいや」
そうやってすんなり流せられるのも羨ましい。くよくよする私にしてみたらすごく憧れる。
「遼也も焦ってたし」
「あいつは俺がキレたとこ何回も見た事あるからな。いつも遼也が止める役」
そうなんだ……じゃあ遼也がいなかったらどうなってたんだろ……
考えると恐ろしい。
「それよりも俺は彩葉にビックリした。あいつ結構勇気あんだな」