好きが涙に変わって溢れてく。

「前の時も、さっきも、あんな風に言ってくれて凄く嬉しかった」



ちゃんと伝わってたらいいな……


またバカにされるかもしれないけど、それでもいい。




「今日のあいつの言葉聞いてさ、俺……どれだけお前に酷いことしたか改めてわかったんだ」



前を見て言う魁。



「だから本当はあんなこと言う資格なんてないと思ってたけど……気付いた時には、胸倉掴んでて……」



その胸倉を掴んだであろう右手を見て、ぐっと握り締めている。



「俺の方こそ、ありがとう。そうやって言ってくれて。凄くスッキリした」



こんなに優しい笑顔を向けられたのは、初めてかもしれない。



「でも、仲直りとかはいいの?しなくて……」


「俺あいつのことあんま好きじゃねぇから別にどうでもいい」


「そ、そう……」



男って本当にサバサバしてていいよね。

羨ましい。



「みんなビックリしてたんじゃない?」


「うーん……まぁ別にいいや」



そうやってすんなり流せられるのも羨ましい。くよくよする私にしてみたらすごく憧れる。




「遼也も焦ってたし」


「あいつは俺がキレたとこ何回も見た事あるからな。いつも遼也が止める役」



そうなんだ……じゃあ遼也がいなかったらどうなってたんだろ……


考えると恐ろしい。




「それよりも俺は彩葉にビックリした。あいつ結構勇気あんだな」

< 274 / 432 >

この作品をシェア

pagetop