好きが涙に変わって溢れてく。

「何でだよ。俺は至って真面目だ」


「髪の毛茶色くてピアス空けて制服着くずして授業中居眠りこいて、校則破りまくってる奴のどこが真面目よっ」



ここまで言えばさすがに魁も“うっ”と唸り声をあげて顔を歪ませた。



「何でクラス違うのに俺が授業中寝てるってわかんだよ」


「あーら、2年の時からいっつもそうだったけど?変わったの?」


「お、おう。そりゃあな‼俺3年になって毎回授業ちゃんと聞いてるし」



動揺しまくり。目合わせようとしないし。わかりやすい。


しばらくの沈黙の後、私は真剣な顔でたずねてみた。




「――ねぇ、魁」


「ん?」


「前のテスト全部で何点だった?」



「確か170点ぐらいだったかな」



多分言ってすぐに、魁は墓穴を掘ったことに気付いたと思う。

やっぱりね。



「ほらー嘘つきーっ」


「き、きたねーぞお前!」


「ふーんだ。まぁ魁のことだから初めからわかってたし。大丈夫大丈夫」



頷きながら宥めるように肩をポンポン叩くと、魁は一層悔しそうにしている。



「う、うぜー」


「やっぱり私よりもテストの点数がいいなんて有り得ないもんねー」



170点くらいってことは、5教科だから一教科平均34点?


私の方が断然上じゃん。

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