好きが涙に変わって溢れてく。

「お前なぁ‼俺が本気出せばテストなんて楽勝なんだよっ」


「よく言うわよ、200点以上とることすら奇跡に近いのに」


「言いやがったな……じゃあ次のテスト全教科80点以上取ってやる‼そしたら文句ねぇだろっ」



ムキになってるし……

面白いけど。



「えーせめて50点にしといた方がいいんじゃない?」


「ふざけんなっ、80点なんか余裕だっつうの‼」



顔は全然余裕じゃなさそうだけどね。

無理してるの見え見え。


それを見て私も意地悪したくなった。




「あーっそ‼じゃあ勝負する!?次のテスト」


「上等だっ‼」



言い争いを始めたらなかなか止まらない私達。


魁ってこんなに負けず嫌いだったっけ?



「絶対負けねぇからな‼見てろっ」



本当に子供みたいで、それにこんな風に言い合いするのがすごく懐かしくて、私は魁の顔見てプッと笑ってしまった。



「なんか懐かしい。こうやって魁と言い合いするのも」


「何だよ……いきなり」


「ううん、何でもない。思い出したら笑えてきただけ」




今この一瞬だけでもあの頃の気持ちに戻れたことが嬉しく感じて、なかなか止まらない。




「は、何だそれ」


「いいの」



いつまでもこんな関係が続くなんて有り得ないことだし、後々また自分を苦しめる思いをするかもしれないけど、私は今を忘れたくない。




「さーて戻ろっ。誰かさんのせいで私までサボりと思われたら嫌だし」



スカートについた草を払いながら、ワザとそう言ってやった。



「思われたらって、今サボってんじゃん」


「サボってるんじゃないもん。ただ探しに来ただけだもん」



口を尖らせると、魁も立ち上がって草を払う。



「あっそ。そりゃどうも」



ニヤニヤと笑う魁。


顔を見合わせて、笑い合う私たち。



丁度チャイムが鳴る時間になってきて、教室に戻った。

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