好きが涙に変わって溢れてく。
何とか明菜に見つかる前に、私は魁と別れて彩葉たちの所へ向かった。
「おかえりー」
「ただいまっ」
よかった。明菜いないし、セーフかな。
「その顔だと、上手くいったみたいね」
「っ‼」
顔を隠すものの、既に遅く。尚更私の頬は緩みっぱなし。
「幸せそ~」
半分不気味な物を見る眼差しを送る3人。
だけど私にはそんなの全く見えてなかった。
本当にちょっと幸せだったから。
「……やっぱり桜綾は魁君だね」
「へ?」
「いや、何でもない」
幸せに浸りすぎてよく聞こえなかった。
でも考えてみたらこれでいいはずがない。
「いけないいけない‼こんなんじゃいつまでたっても忘れられないじゃん」
頬を叩いて私は現実を見る。
しっかりしなきゃ。
魁は明菜と付き合ってるんだから……
「無理して忘れようとしなくていいじゃん。桜綾、自分で言ってたでしょ?『少しずつでいい』って。焦らなくていいと思うよ」
「うん、そうだよ。無理すればするほど結構忘れられないもんだよ。現に私がそうだったから」
瞳……?
「明菜が私の好きな人と付き合った時ね。忘れようと思えば思うほど忘れられないもんなの。時間が解決してくれたけどね」
前に聞いたことがある、その話。
瞳もその人のこと凄く好きだったんだ……
時間が解決してくれる?
私の場合、いったい何年かかるんだろうね。