好きが涙に変わって溢れてく。

「あ……」


逢織がふと顔を上げる。


視線の先には、尊琉君。



「珍しいじゃん。もう学校終わりなのに」


「今日は忙しかったんだよ。でもせめて桜綾ちゃんの顔みたいと思ったからさ」


「え……」



みんながいる前でさらっと言われると、どういう反応したらいいのかわからない。


絶対今顔真っ赤だ……



「はいはい。そんなクサいセリフいりません」



逢織がサラリと流す。


尊琉君、大分積極的になってきたな……



尊琉君の為にも、ちゃんと自分の中で気持ちをハッキリさせないと。



「今日、予定ある?」


「特にはないけど……」


「よかった。ならちょっと付き合ってほしい所があるんだけど、いい?」


「うん」



どこだろ。すっごい気になる。



「じゃ、また後でな」


「はーい」



嬉しそうにクラスへ戻って行く尊琉君に手を振ると、私も自然と笑みが零れていた。



「どこ行くんだろうね‼」



こういう時はやっぱり食いついてくるよね。みんな。



「すっごい楽しそうですね……」


「もっちろん‼気になって仕方ないし」



いや、でもね……?


場所を知ってるのは尊琉君だけだし、そんな笑顔で訊ねられてもなぁ……



「「「桜綾‼報告よろしく‼」」」



3人そろえて言われると、その威圧感に断りにくい。



「は、はい……」



まぁいっか。別に変な所じゃないだろうし。

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