好きが涙に変わって溢れてく。
「ホントだ……めっちゃうまい……」
私とは正反対に、尊琉君は地味に感動している。
全く対照的な私たち。
一口食べただけなのにすっごい幸せ。
「どうしよう……っ1個じゃ足りないよ」
ペロリとショートケーキを1つ食べ終わり、すぐにモンブランに手を伸ばす。
ほんの少し口に入れた瞬間、独特の甘みがいっぱいに広がって、私にしてみたら衝撃的の味だ。
「おいしーっ。幸せ……っ」
フォークを握り締めて気持ちが高ぶりそうなのを必死に抑える。
もうこれはきっと私に“もっと食べろ”って言ってるのと同じだね。
「まじ?一口ちょうだい」
「うんっ!すっごいおいしいよっ‼」
差し出すと、尊琉君はまだ口のつけていない部分からモンブランを掬って食べた。
「ほんとだ。すっげーうまい」
「でしょ!?」
ここの店本当に凄いっ。安いし美味しいし、まさに言うことなし‼
モンブランも食べ終わると、私は迷わずに財布を手に取った。
「もう1個買ってくる‼尊琉君も食べない?」
「……じゃあ、食べようかな」
立ち上がる尊琉君を止めて席を立つ。
「今度は私のおごり。いいでしょう?ちょっと待ってて‼」
今度こそはちゃんと自分で払うもんね。
尊琉君に有無言わさずに、私は再び中に入った。