好きが涙に変わって溢れてく。
一口食べては美味しいしか言ってない。
でもそれ以外になんて言ったらいいのかわかんないくらい、本当においしい。
「尊琉君も食べる?」
「うん……ありがとう」
それぞれ一口ずつ食べて、私は残りを味わって食べる。
もうここまできたら私に“太る”なんて言葉関係なし。
美味しい物には勝てません。
ずっと夢中になって食べていると、前から視線を感じて私はようやく現状に気付いた。
私ってば普通にケーキ6個も食べてるし……
尊琉君は既に食べ終わってるのに。
絶対に幻滅してるだろう。
「ご、ごめんね……こんな見苦しいとこ見せちゃって。幻滅したでしょ?」
チラ、と視線を移すと、尊琉君は優しそうに微笑んでいた。
「いや。そっちの方が俺は好きだな。そんなに美味そうに食べてると来てよかったって思うし」
「そ、そう?」
そう言ってくれるとすごく気が楽になる。
気を遣わなくていいっていうことが、凄く居心地いい。
「それに、桜綾ちゃん細いからもっと食べた方がいいよ」
「え!?これのどこが細いの!?」
自分を見渡してみて、どこもお世辞でも細いって言えない。
高校に入ってから結構太って、みんなからデブデブ言われてたのに。
「俺から見たら全部細すぎ」
尊琉君……もしかして凄く目悪い……?