好きが涙に変わって溢れてく。
一応一通り拭いたけど、濡れた制服が尊琉君の体に張り付いて、すごく冷たそう……
尊琉君は平然としてるけど、絶対寒いよね。
「尊琉君、手かして」
「え?」
「いいから」
戸惑う尊琉君の手を握り締めると、氷のように冷え切っていた。
「あったけー」
「こんなことしか出来くてごめんね」
こんなに温まってるのは尊琉君のおかげ。
柔らかく微笑んで、尊琉君も握り返しす。
「いや、十分。すっごい温まる」
「そっか。よかった……」
それから暫く待っていると、本当に雨は上がり始めた。
「よし、行こっか」
「うん」
握り締めた手はそのままに、私たちは歩き出す。
不思議とその時は手を解こうとは思わなかった。
どうしてかは、よくわからなかったけれど。
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「桜綾ー‼」
階段の下からお母さんのデカい声。
目を覚ましてノロノロと起き上がると、ズキンと頭が痛んだ。
「いった……」
それに体がダルい。喉も痛いし……
もしかして、風邪ひいた?
いや、まさかね……
「やば‼遅刻!」
枕元に置いてある時計を見てガバッと起き上がる。
脈を打つように痛む頭痛に耐えながら、私は制服に着替えて家を飛び出した。