好きが涙に変わって溢れてく。



「はい席つけー」



担任が教室に入っていくと同時に、私は教室の後ろから身を潜めて入った。


この先生結構厳しいからね……



チャイムが鳴って1秒でも遅かったら絶対に遅刻にされるし。



「セーフっ」



どうやら間に合ったみたい。


両手を広げてホッと一安心していると、彩葉たちが待ち構えていた。




「珍しいね。こんなにギリギリなの」


「危なかった……絶対間に合わないと思ったもん」



だから化粧も手抜きだし、髪もおろしたまま何もしてないし。


自分の席に座ってだらんと机に体を預けた。



「どうかしたの?」


「ううん。ただ疲れただけ」



いえ、嘘です。


走ったせいで余計に頭が痛いです。

今度は咳も出てきたし……



「ちょっと顔赤くない?」


「そう?多分走りすぎたからかな」



顔を覗き込む逢織。笑ってごまかしてるけど本当に体が重い。



どうしよ……保健室行こうかな……

でも授業遅れるのは嫌だし、来たばっかりだしな。


もう少し頑張ってみよう。




とりあえず誰にも気付かれないようにして、休み時間はなるべく自分の席から離れないようにした。

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