好きが涙に変わって溢れてく。
ただ、今日は一週間の中で一番移動教室の多い日。
あちこち歩いていたら大分頭がふわふわしてきた。
3限目までは何とか頑張れたけど、ここまで来たらさすがに限界だった。
「桜綾、本当に大丈夫?保健室行ってきたら?」
「うん、その方がいいよ。顔も赤いし、熱あるんじゃない?」
「ん~……でももうすぐテストだから授業遅れたくないしなぁ……」
ノートも取らなきゃいけないし、後でするとなるといろいろ面倒だし……
「アホか。熱引かなきゃ意味ないでしょ?私らに移す前に治してきな。ノートならまた見せてあげるから」
あ、そうじゃん……熱あるのに学校にいたら、みんなに移しちゃう。
「そうだよね……じゃあこの時間が終わったら行ってくる」
とりあえず今の時間だけ頑張って、休み時間に行こう。
『着いてってあげるから』と言われたけど、今更だけど移るといけないから断った。
保健室くらい簡単に行けるはず。
そう軽く考えていたけど、思ったよりも症状は酷くなっていた。
一歩進む度に視界がぐらついて、壁伝いに歩かなきゃ前に進まない。
あ~絶対に風邪だ。もしかして、昨日のあの雨のせい?
私あんまり濡れなかったのに……
そういえば、尊琉君は大丈夫かな……
「片桐?」