好きが涙に変わって溢れてく。

そんなことを思いながら歩いていると、前に魁と男子数人が見えた。


でも……よく見えない。ぼやけてる。



「何腰曲げて歩いてんだよっ、ばぁさんかお前は」



からかわれても言い返す気力もない。


ははは……と笑うことしか出来なかった。



「おい……?」



腕を掴まれて、向かい合わせの状態になる。近くにある魁の顔。


魁は私の異変に気付いたのか、そっと額に触れる。


だけど頭の中は真っ白で、周りの状況もわからなくて、段々と意識が遠退いていくようだった。



魁が目の前にいて、私の額に手を当てている。それだけしかわからない。


体中から力が抜けていく。



このままじゃ、迷惑かけるだけなのに……



「魁……ごめん――……」


「片桐っ!?」



記憶に残っているのは、そこまでだった。










――――――――
―――――


「…………」



目が覚めて、一番に目に入ったのは白い天井。


周りを見回すと、ようやくここが保健室だということがわかった。


起き上がると、額には置いてあったタオルが落ちてきた。



私やっぱり熱あったんだ……


少し暖かくなっているタオル。まだ額は熱い。



「よかった。目覚めた?」


「あ……」

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