好きが涙に変わって溢れてく。
あんなの初めての経験だったし。
「様子が変だとは思ったけど、よく頑張れたな、あんな時間まで」
「ずっと座ってたから大丈夫だったんだけどね。立ったら急に頭痛がして、歩いてたらどんどん酷くなって」
「俺がいなかったら地面に激突だったな」
「はは……多分間違いないね」
そんなことも考えられなかったけど、今思うと本当にそうだな。
魁には感謝しなきゃ。
「あ、ここまで運んでくれたんでしょ?ありがとうね。重かったでしょ?」
「ほんと。腕千切れるかと思った。もっと痩せた方がいいんじゃね」
大袈裟に腕を押さえる魁。
私がどんな時でもこいつは憎たらしい。
今だけでも“大丈夫”の一言くらい言えないのかねー。
「はいはい。それはすみませんねー」
尊琉君は細いって言ってくれたけど、やっぱりデブなんだよね……
ちょっとショック。
「嘘だって。嘘嘘。全然重くねぇよ」
「いや、ちょっと本気だったでしょ」
「だから違うってっ」
今更そんな弁解しなくてもいいのに。
ジーッと魁を見ていると、魁はそっと私の額に触れた。
「あっつい」
「まだ熱あるって。こんなに近くにいたら魁に移るかもよ?」
「え……」
そう言うと、急に無表情になる魁。
え……?
何で?私なんか変なこと言った?