好きが涙に変わって溢れてく。
「…………」
じっと魁の後ろ姿を見たまま動かない尊琉君。
「あの……尊琉君?」
恐る恐る声をかけると、やっと尊琉君はこっちを見てくれた。
「あ、ごめん……っ」
「いいけど、どうしたの……?そんな怖い顔して」
さっきまで魁が座っていたイスに今度は尊琉君が腰かけて、パッと険しい表情がなくなった。
「いや、別に何もないよ」
「そう?」
なーんか怪しい。その笑顔が何かを隠していそうで。
「こんな近いと熱移っちゃうよ」
枕で尊琉君との間をとって、布団を深く被るものの全く動じない。
「いいよ全然。半分俺のせいだし」
「何で?」
「だって、昨日の雨が原因だろ?」
……まぁ、思い当たる節としてはそれしかないけど。
「でもブレザー被せてくれたし、それに尊琉君の方がびしょ濡れだったじゃない」
それなのに尊琉君はピンピンしてるし。
普通は私と尊琉君の立場が逆だと思うんだけどな……
すごく体強いんだね……きっと。
「俺は雨なんかで風邪ひくようなヤワな体じゃねぇの。これじゃあ何の為に雨から桜綾ちゃん守ったかわかんないだろ」
「でも尊琉君のせいじゃないし、私がしっかり体調管理してなかったからだよ。だからそんなに責任感じないでね」