好きが涙に変わって溢れてく。
そう言ったものの、尊琉君は眉間に皺を寄せて納得いかないようだ。
「それに……助けたのはあいつだし……」
「え?」
小さく呟いた尊琉君だったけど、私が首を傾げると今度は半分ヤケになって叫んだ。
「だから……っ、ちょっと嫉妬したんだよ‼」
真っ赤になった顔を隠すように手で覆って、私と目を合わさないようにしている。
恥ずかしいのを我慢して言ったんだろうなって思ったら、すごく可愛く感じてしまった。
「大丈夫だよ。助けてもらったのは本当に偶然だし、魁は明菜にベタ惚れだから」
初めてだ。
尊琉君の口から“嫉妬”って言葉を聞いて、嬉しく思ったのは。
私、本当に少しずつだけど……尊琉君に惹かれてるのかな……
だけど、また険しい表情になった尊琉君。
「?」
下を見たまま何も言わなかったけど、すぐに元の顔に戻った。
「今日、どうやって帰る?」
「歩いて帰るよ。多分家には誰もいないだろうし、体も楽になったからね」
何だったんだろう、さっきの。
話変えられちゃったし……
「じゃあ家まで送ってく。昨日は途中までしか送れなかったから、今日はちゃんと送ってく」
「ありがとう。お願いします」
深々と頭を下げて、お言葉に甘えることにした。
そろそろHRが始まる時間。
私はひとまず教室に戻って自分の鞄を取りに行った。