好きが涙に変わって溢れてく。

そう言ったものの、尊琉君は眉間に皺を寄せて納得いかないようだ。



「それに……助けたのはあいつだし……」


「え?」



小さく呟いた尊琉君だったけど、私が首を傾げると今度は半分ヤケになって叫んだ。



「だから……っ、ちょっと嫉妬したんだよ‼」



真っ赤になった顔を隠すように手で覆って、私と目を合わさないようにしている。


恥ずかしいのを我慢して言ったんだろうなって思ったら、すごく可愛く感じてしまった。




「大丈夫だよ。助けてもらったのは本当に偶然だし、魁は明菜にベタ惚れだから」



初めてだ。

尊琉君の口から“嫉妬”って言葉を聞いて、嬉しく思ったのは。


私、本当に少しずつだけど……尊琉君に惹かれてるのかな……



だけど、また険しい表情になった尊琉君。



「?」



下を見たまま何も言わなかったけど、すぐに元の顔に戻った。




「今日、どうやって帰る?」


「歩いて帰るよ。多分家には誰もいないだろうし、体も楽になったからね」



何だったんだろう、さっきの。


話変えられちゃったし……




「じゃあ家まで送ってく。昨日は途中までしか送れなかったから、今日はちゃんと送ってく」


「ありがとう。お願いします」



深々と頭を下げて、お言葉に甘えることにした。



そろそろHRが始まる時間。

私はひとまず教室に戻って自分の鞄を取りに行った。

< 299 / 432 >

この作品をシェア

pagetop