好きが涙に変わって溢れてく。
「桜綾っ‼大丈夫?」
私を見つけてみんなが駆け寄ってきた。
笑顔でブイサイン。
「帰らなかったの?」
「うん、今まで寝ててさ。大分楽になったよ」
「そう……」
どこか浮かない表情の3人。
そういえば、周りの視線がチラチラと痛い。
「何かあった?」
言いにくそうにしている3人だったが、瞳が思い立ったように私の腕を引っ張って顔を近付けた。
「桜綾倒れたんでしょ?その時に魁君が桜綾を保健室まで運んだじゃない?その場面をみんなが見てて、今かなり噂になってんのよ」
「……へ?どういう意味?」
運んでくれたのは魁に聞いたけど、でもそれは助けてくれたからで、別に悪いことなんて……
「魁君すごく焦ってたみたいで、明菜を放ったらかしにしてたらしいの。みんなはみんなで“カッコよかったよねー”なんて言い出してたから、それを明菜が聞いて更に怒ってる訳」
「それは……私に?」
「みたいよ。一部には桜綾がワザとやったって言いふらしてるし」
何それ……私はワザとなんかじゃないし、魁はただ心配してくれただけじゃない…。
「とりあえず今日は早く帰りな。HRも出ない方がいいよ。明菜に見つかったら何されるかわかんないし」
「そっか……わかった」
どうせ午後からは欠席扱いされてるし、今の私にはそれが無難だと思い、言うとおりに帰ることにした。
尊琉君には逢織が伝えてくれるらしく、先に玄関へ向かった。