好きが涙に変わって溢れてく。
またか……。明菜がまた何かを言いふらしていること。
もう溜め息しかでない。
あそこに魁がいてもいなくても、きっと体力は持たなかったと思う。
魁はいざという時は本当に優しいから。
「体、大丈夫か?」
肩を叩かれて、隣には尊琉君。
「あれ、もう来てくれたの?」
「まだ病人だろ。何があるかわかんないし1人に出来ねぇよ」
まだHRは終わってないはずなのに、来てくれたんだ。
「逢織に聞いたけど……また何かしてるみたいだな、あの子」
「あぁ、もういいのよ。放っておくし、あんまり関わりたくないから」
もし何か言ってきたらその時はその時で何とかするけど、あの性格だったら多分覚悟しておいた方がいいかな……
「常に人より上の立場にいたいんだって。だから魁が私を助けたのが許せなかったんじゃないかな」
こんなややこしいことになるなら、初めから学校休んでたらよかったな……
「何かされたら、俺に言えよ?」
「うん、ありがとうね」
尊琉君は思い出したようにブレザーを脱ぐと、私にかけてくれた。
「大丈夫だよ?」
「またぶり返したら大変だろ。いいから着てろ」
昨日とおんなじ。
でも、温もりを残してて凄く暖かい……。
「ありがと」
保健室で言った通り尊琉君は家まで送ってくれて、ブレザーを返してお礼を言うとそのまま帰っていった。
部屋着に着替えて私はそのままベッドに入り、しばらく眠ったあと病院に連れて行ってもらった。