好きが涙に変わって溢れてく。
「桜綾ー‼こっちこっち‼」
まだ距離があるのに、どこに明菜がいるかすぐにわかった。
細い体系に似合う可愛らしい格好は、一際目立っていたから。
どんなに嫌いでも憎くても、明菜が可愛いのは否定できない。
通り過ぎる人々が明菜に目移りしても、おかしくない。
魁もきっと、そんな明菜のことがもっともっと好きになっていくんだろうな……
「おまたせ」
「全然いいよーっ。じゃあ早速中に入ろっ!」
優しくて友達思いで、仲が良かった頃に戻ったように、明菜は可愛いい。
あの性格じゃなかったら……本物の人気者になってただろう、きっと。
「……はよ」
「おはよ」
魁は相変わらずカッコいいし。
早速落ち込んできた。
「どうも」
魁が尊琉君に軽く頭を下げると、尊琉君は明らかな作り笑いで返事を返す。
大丈夫かな……この2人。
魁も微妙な顔してるし。
「早く行こうよー」
魁の腕を引っ張って、先を促す明菜。
嬉しそうに魁も笑ってるし。
こんなことならもう別行動にしてよ……
「桜綾っ、尊琉君!早く早くー‼」
手招きする明菜を見ながら、尊琉君がボソッと呟いた。
「俺ほんとああいう子苦手……」