好きが涙に変わって溢れてく。


広い園内で、アトラクションというアトラクションを片っ端から乗っていった。


休憩する間もないくらい、明菜が私たちを引きずり回していく。



『休みたいから別行動にしよう』って言ったら明菜は『じゃあ待ってる』って言うし、何かと理由をつけて離れてくれない。


嫌でもこいつは4人で回る気だ。



精神的にも疲れて口数が徐々に少なくなっていく私に対して、明菜は憎たらしいくらい話かけてくるから余計に辛い。


しかもその度に私は笑わないといけないし。



魁と尊琉君は全く喋らないし目も合わせない。

私が2人と喋ることは度々あるけど、魁と喋ると明菜がすぐに邪魔してくる。



このデートは殆ど明菜だけの為だ。










「……帰りたい」



また次の乗り物に並んでいて、前の2人には聞こえないように呟いた。



「俺も……」



どうやら尊琉君も相当疲れが溜まってるみたいだ。



「全然おもしろくねーし」


「くだらない理由でここまで振り回されるなんて……」



魁に嫌われるのが嫌って思って何も言えなかったけど、ここまでくると開き直ってくる。


まぁいいや……解放されるならどうでもいい。



「大丈夫か?」



心配そうに声をかけたのは魁。


疲労が溜まった私たちに気付いたようだ。



「大丈夫。平気だから……」



そんなことよりも早く終わってほしい。


本当にただそれだけだ。



「ちょっと休憩するか?」


「いい!全っ然大丈夫‼」



そんなことしたら余計に疲れる。

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