好きが涙に変わって溢れてく。

「まじで!?俺と全く反対じゃねぇかよっ」



ゲラゲラ笑う魁を睨みつけ、“誰のせいだと思ってんのよ”と心の中で呟いた。


もちろんそんなの私の勝手だけど。




「で?何か企んでるでしょ」


「あ、やっぱわかる?」


「わかるに決まってるでしょー。何がお望み?」



そんなニヤニヤしながら見られたら普通にわかるよ。



右手の掌を広げて私の目の前に差し出す魁。


何かと思ってじっと手を見ていると、魁は嬉しそうに言った。




「ジュースおごって」



「はい?」



もっと高い物か、無茶なこと言われると思ったらジュースって……


そんなことでいいの?



「ホントにジュースでいいの?」


「うん」



珍しい……あの魁が。


そう思って財布の中から150円取り出して掌に乗せると、



「へ?」



ととぼけて私をみた。



「誰が1本って言った?」


「は!?2本!?」


「違う違う。3本」



ムカつくくらいにーっこり微笑む魁。


やっぱりヤツはこういうヤツだ。



だけど確かに私は魁にテスト負けたんだし、しょうがない。




「もう魁とは競いたくないね」


「負けず嫌いだからな、俺」



もう300円を魁に渡すと、魁はぎゅっとお金を握り締めた。



「サンキュー。やっとお前にジュースおごってもらえるな」


「どういう意味よ?」


「だってお前超ケチだったじゃん。くれるどころか貸してもくれなかったし」


「あ……」

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