好きが涙に変わって溢れてく。

「っ!?」



頭上から降り注いできたのは、男の笑い声。



「あ、あなたたち……」



顔を上げると、そこに見たことのある顔ぶれが並んでいる。


軽そうな男達。前に私から金を巻き上げようとしたあの不良達がそこにいた。



「どうして……っ」


「私が呼んだの。ビックリした?」



別の場所から女の声。


見れば、そこには明菜と一緒にいる女達と、それから後ろの方に明菜がいた。



「じゃああのメールは……」


「私が明菜にそうするように言ったの。明菜なら魁君のスマホ借りることなんて簡単だし、そうしたらあんたが簡単に騙されると思ったから」


「そしたら本当に来るんだもん。あんた相当バカじゃん」



あれは、明菜が魁のスマホを使って私にメールを送ったってこと……?


じゃあ私がメールを送ったのは、魁じゃなくて明菜……?



「あんたさぁ、いい加減にしたら?明菜が迷惑してるのわかんないの?」



1人の女が舌打ちしながら私を冷たく見下ろす。



「魁君は明菜の彼氏なんだよ。媚び売ってんじゃねぇよ、気持ち悪いんだよ」


「は?何言ってんの?訳わかんない」



震える拳を握りしめ、女をキッと睨み返す。


その場を立ち上がると、彼女は私の胸倉を掴んだ。



「訳わかんねぇのはお前だろ!?人の彼氏奪おうとしてんじゃねぇよ‼」



顔を近付けられ、耳元で怒鳴られる。


だけど私は決して彼女から目を逸らさなかった。




「奪おうなんて思ってないよ。私は明菜とは違う」


「あぁ!?人のせいにすんなよ、どれだけ明菜が傷ついてると思ってんだよ」

< 333 / 432 >

この作品をシェア

pagetop