好きが涙に変わって溢れてく。
「っ!?」
頭上から降り注いできたのは、男の笑い声。
「あ、あなたたち……」
顔を上げると、そこに見たことのある顔ぶれが並んでいる。
軽そうな男達。前に私から金を巻き上げようとしたあの不良達がそこにいた。
「どうして……っ」
「私が呼んだの。ビックリした?」
別の場所から女の声。
見れば、そこには明菜と一緒にいる女達と、それから後ろの方に明菜がいた。
「じゃああのメールは……」
「私が明菜にそうするように言ったの。明菜なら魁君のスマホ借りることなんて簡単だし、そうしたらあんたが簡単に騙されると思ったから」
「そしたら本当に来るんだもん。あんた相当バカじゃん」
あれは、明菜が魁のスマホを使って私にメールを送ったってこと……?
じゃあ私がメールを送ったのは、魁じゃなくて明菜……?
「あんたさぁ、いい加減にしたら?明菜が迷惑してるのわかんないの?」
1人の女が舌打ちしながら私を冷たく見下ろす。
「魁君は明菜の彼氏なんだよ。媚び売ってんじゃねぇよ、気持ち悪いんだよ」
「は?何言ってんの?訳わかんない」
震える拳を握りしめ、女をキッと睨み返す。
その場を立ち上がると、彼女は私の胸倉を掴んだ。
「訳わかんねぇのはお前だろ!?人の彼氏奪おうとしてんじゃねぇよ‼」
顔を近付けられ、耳元で怒鳴られる。
だけど私は決して彼女から目を逸らさなかった。
「奪おうなんて思ってないよ。私は明菜とは違う」
「あぁ!?人のせいにすんなよ、どれだけ明菜が傷ついてると思ってんだよ」