好きが涙に変わって溢れてく。
もう、遅いよ
*魁side*
どうしたんだろう、あいつ……
いつもなら冗談言って喰いかかってくるヤツなのに、少し前から人がガラリと変わったようだ。
「何かあったのかな……」
遼也もその異変を感じていて、心配そうに片桐が去った後を見つめている。
いつものあいつじゃねぇと、何か調子狂う。
頭に浮かんだのはたった1人だけで、俺は意を決したようにある場所へ向かった。
「悪い遼也、先戻ってて」
「どこ行くんだよ」
「おぉ、ちょっとな」
もう学校も終わるし、放課後を狙って会いに行けば丁度いい。
教室の外で待ち伏せして、俺はあいつと会う時を待っていた。
そしてHRが終わった時、窓側の奥にそいつの姿を見つけた。
「よぉ」
俺から声をかけるなんて初めてのことで、こいつも戸惑ったに違いない。
俺と目が会うとすぐに表情が暗くなった。
「何だよ?」
「話がある」
初めて顔を合わせた時からずっと感じてたけど、多分俺とこいつはお互いに敵視していると思う。
蕪城尊琉。
教室に誰もいなくなるのをじっと待って、その間にも言葉を交わさなければ目も合わさないまま。
遊園地に一緒に行った時だって、こいつと喋ったのはほんの二言、三言。
「で、話って何?」
デカい態度で、ホントに俺こいつのこと嫌いだ。
でもきっとこいつも同じことを思っているんだろうな
「片桐のことだけど」
あいつの名前を出した瞬間。
蕪城尊琉の体がピクリと反応した。