好きが涙に変わって溢れてく。
「お前は何もわかってねぇ。桜綾ちゃんのことも、お前の彼女のこともな‼」
何で明菜が出てくるんだ……?
あいつと片桐は仲がいいはずだろ?
「明菜は関係ねぇだろ」
「そんな風に思ってたらいつまで経っても桜綾ちゃんの気持ちはわかんねぇよ。お前なんかには絶対な」
片桐の気持ち……?
どういう意味だ……
「大体、てめぇにはちゃんと好きな女がいるんだろ。何で桜綾ちゃんのことにいちいち首突っ込むんだよ」
「あいつは俺の……」
ムカッときて言おうとしたけど、言葉が止まる。
俺の……?
あいつは俺の……何だ?
何も言えずにいると、こいつは俺の手を引き離した。
「俺は桜綾ちゃんが好きだ。だからこれからもずっと俺が守る。てめぇは自分の彼女だけを見てればいいだろ」
カバンを持って教室から出て行こうとしているのに、俺は何も出来なくて何も言えない。
「二度と俺たちに首を突っ込むな」
最後に俺を睨んで言うと、蕪城尊琉は教室から出て行った。