好きが涙に変わって溢れてく。
1人になった俺は、そのまましゃがみ込んで壁によりかかった。
深い深いため息が、俺の口から漏れる。
自分の気持ちがわからない。
どうして俺は、あいつのこと……
「魁」
名前を呼ばれて顔を上げると、そこには遼也がいた。
何でここにと思うヒマもなく、遼也は口を開く。
「お前さ、何でここまで片桐のこと気にしてんの?」
きっと外で俺たちの会話を聞いていたんだろう。
あいつと遼也に言われるまで、全然そんなことに気づかなかった。
頭を抱えて、今思ってることを遼也に伝えた。
「俺さ……明菜と付き合えて、凄く嬉しかった」
遼也は、俺の隣に腰を下ろす。
「だってずっと片想いだったんだぜ?それにまさか明菜から俺に“好きだ”って言ってくれるなんて思ってもみなかったし」
嬉しくて仕方なくて、家に帰ってもまだ信じられなくて、それくらい夢みたいな話だったから。
「明菜と毎日一緒にいれて楽しかったし、幸せだとも思った。これからも一緒にいられたらいいなって、ずっと思ってた」
なのにどうして、常に俺の頭の中にいるのは、彼女じゃないんだろう……
どうして俺、こんなにも、あいつのこと……
「でもさ……。それよりもずっと、片桐の事が気になって仕方ねぇんだ」