好きが涙に変わって溢れてく。
「っ……‼」
全部全部
俺の名前を呼ぶ
片桐だった。
いつもどんな時でも俺に話しかけてくれる、あいつの笑顔。
「それが、お前の本当の好きな奴だよ」
そうだ
そうだったんだ……
毎日が、当たり前だから気付かなかった。
あいつと一緒に喋ったりすることが、一緒に笑ったりすることが、俺にとって一番楽しく感じたということ。
それがこれからもずっと、平凡に、当たり前のように過ぎていくと思ってたから、本当の自分の気持ちに気付かなかったんだ。
俺が本当に好きなのは、明菜じゃない。
明菜は好きなんじゃなくて、きっとずっと俺の憧れの人のままで。
本当は―――
「俺……片桐の事が好きだ」