好きが涙に変わって溢れてく。
『私の好きな人は……すっごく優しくて、面白くて、笑顔が素敵で、でもちょっと、恥ずかしがり屋で……』
『それで……一緒にいると凄く落ち着く人かな』
『私も、その人以外考えられない位凄く好きなの。彼を思うと涙が溢れるくらい、ほんの些細な事で嬉しくなったり悲しくなったり、自分でもどうしようもないくらい、その人が好き。だからこそ、私は言えない』
『今までの関係を失いたくない。それに、その人の恋を邪魔する訳にはいかないじゃない?』
『正直迷ってたんだ、もう諦めようって。でもそうしようとすればする程、想いは募るばかりで苦しいの。応援しなきゃって想っても、私にはそれが出来ない。それぐらい……好きだから』
あいつの好きな人は、あいつが今までで1番好きになった奴。
そいつには好きな人がいて、その人との関係を壊したくなくて……告白できないって言ってた。
その時の俺は明菜のことが好きで、片桐と仲よくて……
ってことはもしかして、それって――
予感がして彩葉をチラッと見ると、彩葉は力一杯頷いた。
「桜綾がすっごく大好きな人。誰かわかったでしょう?」