好きが涙に変わって溢れてく。
腰を上げて走り出そうとする俺の腕を、彩葉がガシッと掴んだ。
「その前に、1つ教えてほしいことがあるの」
そっと呟いた彩葉の口から出た言葉は、以外なもの。
「魁は、明菜に桜綾との関係どんな風に聞いてる?」
どうしてそれを今聞くんだろうと思ったけど、それよりも早くあいつの所へ行きたくて、俺は明菜が言ってた言葉をそのまま伝えた。
「『私のことを1番にわかってくれる、1番仲がよくて大親友だ』って言ってたけど……」
まるで“やっぱり”とでも言わんばかりの彩葉の表情に、俺も意味が気になって仕方なかった。
「そっか、やっぱりそうだよね。だから全く疑わなかったんだもんね、明菜のこと」
「え?」
彩葉の言ってる意味がよくわからない。
聞こうと思ったけど、それを彩葉が制止させるように首と手を何度も左右に振る。
「いいの‼いいから早く行ってきなっ。もしかしたらまだ教室にいるかもしれない」
「おう、わかったっ」
全速力で、俺は走り出した。
早くあいつに会いたくて
あいつの顔が見たくて
無我夢中で走った。
こういう時に限って、距離を長く感じるのはどうしてだろう。
頼むからまだ、教室にいてくれ……