好きが涙に変わって溢れてく。
どうしてもそれを伝えたくて、何も考えないままに言葉となっていた。
「え……?」
「お前が好きだ」
片桐は抵抗もしなければ受け入れもせず、ずっと固まっている。
「やっと気付いたんだ。俺、本当は誰が好きか」
当たり前だよな
でも、離したくない。
「いつも一緒だったから、それが当たり前だったから、今まで気付かなかった。明菜は好きなんじゃなくて、憧れだった。いつも俺の頭に浮かんでくるのは、お前だったから」
片桐の体が、震えてる
それは、一体何を意味しているんだろう。
「気付けばお前のことで頭がいっぱいで、他に何も考えられなくて……。ずっとお前と一緒にいたいんだ」
何も言わずにただ体を震わせている片桐を落ち着かせるように、俺はほんの少しだけ力を弱めて優しく抱き締めた。
すると、片桐は急に抵抗をし始めてそのまま俺の体を引き剥がす。
片桐の気持ちも知って“きっと大丈夫”なんて安心しきってたから、まさか思いもしなかった。
「……遅いよ」