好きが涙に変わって溢れてく。
*****
走って走って涙を乾かして、溢れる涙を止めていた。
どうしてこんな時に、“好きだ”なんて言ったの?
どうしてやっと決心した気持ちを、また揺らがそうとするの?
絶対に私のことなんて何とも思ってないって思ってたのに。
今言うなんて、ずるいよ。
魁――……
尊琉君を待たせていて、私は鏡で涙がわからないように確認してから向かった。
「ご、ゴメンね!おまたせっ」
「遅かったね。探してたのは見つかった?」
「うん‼」
忘れ物をしたこと事態忘れていた。
頭の中はそれどころじゃなかったから。
「じゃあ帰ろっか」
尊琉君が手を差し伸べて、私はその手を握り締める。
暖かくて、安心する。
今日のことは、尊琉君には言わないでおこう。
私はもう決めたんだから。
尊琉君だけを見つめていくって。
だから魁のことは忘れるんだ。
いつもなら家まで送ってくれるのに、今日は分かれ道で足を止めた尊琉君。
「じゃあ、また明日な」
どうもこのまま尊琉君がすんなり家に帰るとは思えなくて、私は考えていた。
……もしかして。
「ね、ねぇ尊琉君。この後何か予定あるの?」
確かめようと、わからないように探ってみる。
「え?……あぁ、一応ね」
尊琉君はきっと嘘がつけないタイプだ。
何か隠し事してるってすぐにわかる。
やっぱりそうだ……