好きが涙に変わって溢れてく。

じゃああの時

片桐が言ってた言葉は――




『何が友達思いのいい子?何もわかってないのよ。いつも猫かぶって、こういう時だけ悲劇のヒロインぶって、みんなを味方につけたいだけなくせに』



『自分が良く思われるためならどんな卑怯な手だって使うやつが、こんな時だけ都合のいいこと言わないでくれる?』




あれは――……




『じゃあ……私が悪いの?全部私が悪いの!?何もかも明菜を信じるの!?噂を信じるの!?』




言葉にならないくらい、驚いて


あの時の片桐の言葉が次々と蘇ってきた。



あいつの言ってたことは、間違ってなかった。


片桐が言ってたことは全部、正しかったのに


俺、あいつに何てことを言ってしまったんだろう。



噂を広めた奴を許せなくて、つきとめようとしたけどわからなかった。


明菜の言葉だけを信じてたから、まさか明菜だなんて思いもしなかった



全部……こいつが捲いた種だったんだ。





「それに魁を奪ったなんて人聞きの悪いこと言わないでよ。私たちは両想いなんだから」


「そうやっていつも人の好きな人奪ってたくせにね……」




俺の知らない明菜がそこにいる。


見たことも聞いたこともない明菜がこの中にいる。



……どんどんわかってきた、こいつの本性。





「聞きたいことがあるんだけど」



瞳ちゃんの口から出た言葉に、俺は息を呑んだ。











「魁君のこと……本当に好きなの?」

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