好きが涙に変わって溢れてく。

頭を殴られたような、激しい痛みが俺を襲う。


明菜の口から出た言葉は、否定ではなく肯定だったから。




「……っ、ムカつくのよあの女。いつもいつも私に刃向かって、言い返して、可哀想だなんて言うのよ!?いつだって私の思い通りにいってたのに、あいつのせいでめちゃくちゃ。だから私もあいつの人生めちゃくちゃにぶち壊してやりたかったのよ‼
私よりも幸せになるなんて絶対に認めない‼」



そんなことの為に、俺は利用されてたのか?


そんなことの為に、俺の気持ちも無視して弄んでたのか……?



今までの明菜に対する感情が全て消えた。



楽しかった?


そんなの全部嘘だ。



憧れ?


こんなやつ、少しでもそう思ってた俺がバカだった。



こいつのせいで、片桐との関係が壊れたんだ。


俺にも原因があっても、そうなった元凶はこいつだ。



激しい怒りがこみ上げてきて、今にでも飛び出していきたかった。


けど明菜は、更に口にする。




「……だからね、ムカついたから服全部脱がして写真撮ってやったの。これバラまれたくなかったら魁に二度と近付くなって言ってねっ‼」


「っ!!?」



信じられない言葉に、俺は驚愕の色を隠せなかった。


明菜の顔が見れなくても、今の表情が簡単に浮かんでくる。



楽しそうに、冷たく笑みを浮かべているのだろう。


そう思うと、益々怒りが膨らんでいく。



明菜の本性を知らなかったとはいえ、こんなやつと付き合ってたなんて……


同時に、片桐に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。




「ふざけんじゃないわよ‼あんた人として最低よ‼」


「何とでも言えば?どうせ誰も信じないわよ、あんたのことなんてねっ」



いつも俺の知らない所で、片桐を苦しめていたのか?


あいつの涙は全部、こういう意味だったのか……?

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