好きが涙に変わって溢れてく。
「俺がお前のことを信じてるって?絶対に疑ったりしないって?
冗談じゃねぇよ。お前のことなんか二度と信じない。それに別れる理由にもなるし丁度いいよ」
“別れる”という言葉を聞いてか、明菜の顔色が変わる。
「お前に別れようって言いに来たんだ。俺、他に好きな人がいる」
「魁君……っ!?」
驚く瞳ちゃんに、俺は何とかアイコンタクトで伝えようとした。
明菜は納得がいかない様子で、眉間に皺を集めている。
「別れるってどういうことよ……っ!?私認めないわよ‼」
「認めないのは、片桐を苦しめる為の材料がなくなるからだろ。お前の勝手な理由で俺は利用されてたんだろ?そんな最悪な性格してる女とはもう一緒にいられねぇよ。俺の気持ちは変わらないから」
できることなら二度と関わりたくないし、顔も見たくない。
明菜はピンときたようだ。
「ふ~ん。そういうこと……。桜綾が好きって言いたいわけね」
一変して余裕の笑みを浮かべる明菜を、俺は睨み付けた。
「さっきの話聞いてたんでしょ?桜綾の写真持ってるって。私と別れるならそれを校内にばらまくわ。それでもいいの?」
「明菜っ‼」
どういう神経してんだよこいつ。
考えることが人間じゃねぇ。
「そこまでして、片桐を傷つけたいのか」
「当たり前じゃない。今は全ての目的がそれなんだから」
くそ……っ。片桐の写真を撮られてあるんじゃ、勝手な真似は出来ない。
この女……、本気で許せねぇ。
「写真はどこだ」
「私は持ってないわ。誰が持ってるのかも知らないし」
見るからにしらばっくれる明菜は、俺に歩み寄り距離を縮めてくる。
払いたかったけど、写真のことを思うと手が出せずにいた。
「大丈夫よ。私の気が済んだらちゃんと離してあげるから。まぁ、いつになるかはわかんないけどねぇ……」