好きが涙に変わって溢れてく。

「でも明菜は……」


「もちろんあいつには気付かれないようにさ。誰が関わってるかとか何となくわかるからさ。遼也にもちょっと協力してもらって、ゆっくりでいいから探ってみる」



危険かもしれないけど、これが俺のあいつを守る唯一の方法だから。



明菜がいつかそのカメラを渡してくれるなんて考えられない。


それならやっぱり自分から奪いにいった方がいい。



「あと、このこと片桐には内緒にしといて。きっとまた不安になったりして何するかわかんねぇし」



どうせ止められるに決まってるけど、俺は放っておくなんて絶対出来ない。


そいつらをそのままにしておくのも納得いかないしな。




「うん……わかったけど……」


「じゃあ早速行ってくるよ。1人で大丈夫?」


「うん。ありがとうね」



瞳ちゃんは立ち上がると、微笑みを浮かべた。




「――あっ!魁君‼」


「?」



振り返ると、瞳ちゃんは少し戸惑いがちに口を開く。



「気をつけてね。桜綾の本当の笑顔取り戻せるのは、きっと魁君だけだからっ‼」



瞳ちゃんはまだ、片桐とあの男が付き合ったことを知らないんだろう。


けれど俺は、力強く頷いた。



例え片桐の気持ちが二度と俺に向けられなくても、俺は俺なりにあいつを守る。



あいつの本当の笑顔、取り戻してみせる。



そう心に決めて。



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