好きが涙に変わって溢れてく。
あなたのことだけを……
*魁side*
狭い道を進み、古びた建物の前に俺はいた。
聞き込みを繰り返しやっと掴んだ奴らの居場所。
過去に1度連んだことのある奴ら。
性格も話も合わなくてすぐに俺は抜けたけど、その時から結構俺たちは互いに敵視していたんだ。
ここはそいつらがよくたむろっている場所らしい。
ということはきっと、この中に片桐のカメラがあるはずだ。
そいつを奪い取って捨てたら、きっとあいつも安心できるはず。
安心して、あの男と幸せになれるはずだ。
ギィ、と重い扉に全体重かけて、開けて中を見渡した。
「やっべーまじ金持ちじゃん俺ら~‼」
木で出来た小さな丸机の上にはたくさんのお金。
楽しそうにはしゃぐ男たちの声が聞こえた。
同時に数人の女の声と、タバコの匂い。
音を立てながらゆっくりと中に入っていくと、1人の奴が俺の存在に気付く。
そして次々とそこにいる奴らが俺の方を見ると、さっきの楽しそうだった声は無くなり一気に静まり返ってしまった。
「これはこれは。誰かと思えば、魁サンじゃねぇかよ」
驚きもしないで、まるで俺が来ることをわかっていたような反応だ。
「何しにきたの?」
「片桐の写真撮ったカメラ全部よこせ」
女たちはどこかへ行き、次々と奴らの手に木の棒や鉄パイプが握られる。
やっぱり話しあって解決できる訳ねぇか……
1人がどこかへ行ったかと思うと、奥の方から何かを持ってきた。
「それってー、これのことかなぁ?」
「っ‼」
ビラビラと揺らしながら手元にあったもの。それは全て、片桐の写真だ。
もう現像してたのか……っ
ってことはきっとどこかに機械か何かがあるんだろう。
「てめぇら……っ」
奴らを睨み付けて今にも殴りかかろうとした時、1番前の奴が鉄パイプを持ったまま両手をあげた。
「おっと。返してほしいんだろ?だったらちゃんと言うこと聞けよな」