好きが涙に変わって溢れてく。
俺がバカだったってことは認める。
だけどこいつのしてる事は絶対に許さない。
無性に腹が立ってきて、俺は明菜の頬に平手を打った。
「きゃあっ‼」
女に手をあげる男は最低だと今の今まで思っていたけど、この女だけは別だ。
体制を崩しその部分を押さえながら俺を睨み付ける明菜に、俺も睨み返す。
「自分のしてる事、最低だと思え。絶対にお前は許さない」
「はぁ?何が最低よ?気付かないのがバカなだけでしょ?あんただってその1人だったくせに‼」
強気で話す明菜だったけど、俺はそれを聞いて呆れてため息が出た。
「お前ってさ……可哀想な女だな。そんなことしたって自分を苦しめてるだけだって、まだわかんねぇのか?」
一瞬で、明菜の表情が変わる。
わなわなと怒りで体が震えだし、拳を握り締めた。
「何が可哀想よ……っ、あの女と同じこと言いやがって」
「誰だってそう思って当然だ。気付いてねぇお前の方がよっぽどバカなんだよ」
片桐は間違ったこと言ってない。
明菜の生き方を考えると、つくづく可哀想だと思う。
急にフッと、明菜の口が歪んだ。
「……そんな事言ってられるのも今だけじゃない?」