好きが涙に変わって溢れてく。



何か嫌なことがあると、その訪れはとてつもなく早い気がする。


もう朝。学校に行く時間だ。


いつもなら魁に会えるからっていう理由だけで、少し早いこの時間に家を出ていた。


だけど今はそんな気力はない。

遅刻ぎりぎりでいい。


魁に会いたいけど、どんな顔をして会えばいいのかわからない。




「あら、今日はいつもより遅いのね」


リビングにはお母さんとお兄ちゃん。

お父さんはもう仕事に行ったんだろうな。


お兄ちゃんも準備は終わっている様子だ。



「なんだお前、寝坊か?」


「違うよ。わざと遅く起きたの」



椅子に座って寛いでいる様子のお兄ちゃん。私はその隣に座って、用意されていた朝食を口に運んだ。


「珍しいじゃん。何かあったのか?」


「……別に」


明るいお兄ちゃんとは全くの正反対の私。やっぱり気分が上がらない。



「わかりやすいよなーお前。すぐに顔に出るタイプだから」


「うるさい、ほっといてよ。私はお兄ちゃんみたいに脳天気な性格じゃないの」


「誰が脳天気だ。それはお前だろ?」

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