好きが涙に変わって溢れてく。

やっと――……?



「俺さ、お前のこと……泣かしてばっかだったろ?……お前の気持ち、何にもわからなくて、バカだったからさ」



痛みを我慢しながらも、魁は満足そうだ。



「だから、絶対に何があっても、片桐の笑った顔が見たくてさ……。また、笑ってほしくて……。これが、俺なりの、お前の守り方だと思ったから――……」



そっか。


そこまで私の為に頑張ってくれたんだ。

自らの危険を犯してでも。




「魁……っ……」



どうなることかと思ったけど、本当に無事でよかった。


また魁の声が聞けて、嬉しいよ。




「おい、もう泣くなって……。写真も、ネガも、全部取り返したんだし、明菜だって……もう二度としてこねぇさ」


「違うよ……っ、そうじゃないよっ」



魁の鈍感すぎな所には、例え泣いていても笑ってしまう。


今もキョトンとしてるし。


だけど、そういう所も全て愛しい。







ねぇ魁。


笑わないで、聞いてね……?



初めての告白だから。

これが私の全てだから。



涙止まんないけど、ちゃんと伝えるから……





「私……やっぱり魁じゃなきゃダメだ」




遅くなってゴメンね。

もうすれ違いはないよ。



「……え?」



もうよそ見もしない。

嘘ついたりしない。



「魁しか見えないよ……」



これが最後の、自分との約束。


最初で最後の、告白にする。




「ずっと……傍にいてほしいの……」




魁の頬に優しく触れると、魁は目を見開いて言葉を失っている。



「ほ、ほんとに……?」



迷うことなんてない。


例えどんな反応をされても、私の気持ちは止まらない。



「うん……本当」



笑顔で頷くと、みるみるうちに魁の顔色が明るく変わっていく。


そして、魁は嬉しそうに微笑んで、瞳に涙を溜めた。






「なぁ、ちゃんと教えて……?ちゃんと、言葉で聞かせて……?」

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