好きが涙に変わって溢れてく。

……とまぁこんな感じで、せっかく付き合ったっていうのに、全くと言っていいほど実感はなし‼


登校してても、以前と何ら変わりない気がするし、ムードの欠片もないっ。



「言えよ。気になんだろー?」



魁がムギュっと私の頬をつまんだ。


不機嫌そうに口を尖らす魁に、私はまたため息をついて頬をつまむ手の甲をつねってやった。



「いって……っ」



何すんだよーっ、と魁は手をさすりながら私を見る。


しょうがないな……





「だってさぁ……何か寂しいんだもん」



「……へ?」




こんなこというなんて慣れないけど、でもまぁいいや。



「せっかく長年の片想いが実ったっていうのに、魁は毎日あくびして眠そうだし、ムードの欠片もないし、だるそうだし」



言ってると段々虚しくなってきた。


しょんぼりしている私に慌てて魁が弁解する。



「おいおい……っ、そりゃ言い過ぎだろっ‼
しかも毎日眠いのは久しぶりの家だから嬉しくて眠れなくてさ……っ」


「なぁーにが久しぶりよっ!たった2、3週間だけのくせにっ‼」


「わかってねぇなー!我が家ってもんは3日も離れてりゃ恋しくなるもんなのっ‼」



これは完全なる言い訳だな。


魁も嘘つくのが下手くそ。



それなら素直に毎日ゲームしてます~って言えばいいのに。



「それに……付き合って初めてのクリスマスは病院だったし」


「え……それは俺のせい……?」



目を点にしている魁。


ケガして入院してたから仕方ないことなんだけどね。


意地悪言ってみただけなのに。

そんな反応するなんてね。



ずっと喋らずにいてチラっと見ると、隣で魁はどうすることかと真剣に悩んでいて、その姿を見てプッと噴き出してしまった。



「何だよ……」


「そんな魁の表情見れるなんて滅多にないなぁって思ってさ」



急に私の態度が変わったことに対して、魁は戸惑いぎみの様子。



「う・そ。嘘だよ。そこまで本気にしないで」

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