好きが涙に変わって溢れてく。
怒りを剥き出しにして魁に近寄ると、苦笑しながら私を説得しようとしている。
だけどそんなこと私には通じない。
「こっちの気持ちも考えてよね……っ」
「ゴメンゴメン。でもさ、俺初めてなんだからなっ、誰かに好きって言うこと」
「……はい?」
何言うかと思ったら、いくら何でもそんな嘘が私に通じるはずない。
「信じてねぇなー?あいつとは一緒にいても、自分から好きって言ったこと1度もねぇよっ」
「そうなの……?」
「おぅ、まじで。あいつが言ってくるだけだったもん」
なんか怪しい所もあるけど
嘘ついているようには見えないし。
ってことは、私が初めてってことでしょ?
そう思うと、怒りはどこかへいってしまった。
「そっかぁ~……」
嘘みたいに、自然と頬が緩んでしまう。
そんな所を魁に見られているとも知らずに喜びに浸っていると、後ろからガンと頭に何かが当たった。
「おっはよー、お二人さんっ」
当てたのは彩葉だ。
そしてその隣には遼也もいる。
「今日も仲良くご登校ですかっ?」
「彩葉たちもでしょーっ!」
からかう彩葉に私は半ばムキになって言い返した。
遼也と魁は笑ってるし。
「……本当に上手くいってよかったね」
ウインクして、小声でそう言う彩葉。
「うんっ‼」
付き合ったことを早速報告したけど、彩葉は言わなくてもわかっていたようだ。
彩葉のおかげでもあるんだよね……
本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
「何だよお前ら怪しいな」
「別にーっ。ねぇ桜綾?」
「うんっ」
わざとらしく魁に言ってやると、また後ろから声が。
「「桜綾~‼」」