好きが涙に変わって溢れてく。
私たちの姿を見つけて走ってくるのは、逢織と瞳。
「逢織、瞳~‼」
私は大きく手を振って、飛び跳ねる。
2人にも魁とのことを伝えたら、すごく喜んでくれた。
おめでとうって祝福してくれて、すごく嬉しかった。
「どう?魁君との登下校は?」
目を輝かせて尋ねてくれるのはありがたいけど、そんな期待に応えられるようなもんじゃない。
「いつもとなぁーんにも変わんないっ」
「ひっでーお前ー‼」
「さっきだってからかったじゃん‼」
大袈裟に言ってみるけど魁は全く反省してないみたいだし。
にらめっこを続けていると彩葉が間に入った。
「はいはい、朝から夫婦喧嘩はいいから」
「夫婦ぅ!?」
私と魁の声が見事に一致して、これには誰もが笑っている。
「やっぱあんたたち最高……っ!見てるだけで楽しくなるわ」
「私もーっ!」
バカにされているのか、それともこれは本当に誉め言葉なのか。
魁と目が合うと、私たちはフンとお互いそっぽを向いた。
「あ……ねぇ、そういえば」
思い出したように、彩葉が私に歩み寄ってこそっと耳打ちをしてくる。
「尊琉君とは大丈夫なの?」
あ、尊琉君ね。
「大丈夫だよ?どこかで会ったら話しかけてくれるし、前と何も変わらない態度で。やっぱあんなに優しい人はいないね」
3学期が始まってから廊下でバッタリ尊琉君と逢った時があった。
私はすごく緊張して何て声をかけたらいいのかわからなくてずっと下を向いていたら、尊琉君の方から声をかけてきてくれた。
『久しぶり?』『元気だった?』って。
無理してるかなって思ったけど、正直尊琉君のその言葉は私にとって物凄く救いになっていた。
意外と尊琉君の方から魁とのことについて聞いてきて、ちゃんと魁のことも話した。