好きが涙に変わって溢れてく。

お兄ちゃんにからかわれるといつもならすぐ流すのに、今はすっごいイライラする。

余計ストレスが溜まりそうになる。


乱暴にパンにかじりつき、私はイライラを歯に込めた。



「うそ。そんな怒んなよ。心配だから聞いたんだろ?」



お兄ちゃんは自分の立場が悪くなるとすぐそうやって私の機嫌を取ろうとする。

本当なのか嘘なのかよくわかんない。


ずっと何も言わずにいると、ポンポンと頭を撫でられた。



「何かあったら言えよ。無理すんな」


そう言うと、お兄ちゃんは鞄を持って学校へ行ってしまった。



「…………」


私はパンの耳をかじりながら、固まったまま。


冗談と捉えてしまうのが普通なのに、今は本気に思えた。



お兄ちゃんもしかして、本当に心配してくれてるのかな……



それにしても自分がおかしい。


あんなこと言われて、ちょっとドキドキしてるなんて。


こんな状態だからかな。


ちょっと見直したじゃん、アホ兄貴。

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